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巻頭言<復刊77号>
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「世界に通用する博士人材を育てる:博士課程教育リーディングプログラム・フロンティア有機材料システム創成フレックス大学院の近況」

    神戸 士郎 <フレックス大学院教育ディレクター>

毅和会巻頭言を請われるも、諸先輩方の寄稿を見て躊躇していましたが、山形大学の教育の近況をお伝えする場になればとお引き受けした次第です。工学部卒業生は、グローバルな環境で仕事に従事する割合が、一段と高くなっており、教育面でもグローバル対応が求められていました。特に、大学院教育においては、将来、国際的なプロジェクトでリーダーシップをとれる人材の育成が急務でした。
  このような中、2012(H24)年度、山形大学大学院理工学研究科(工学系)は、博士課程教育リーディングプログラムに採択されました。領域を絞った「オンリーワン型」には、全国から38件の応募があり、山形大学は、これまでの教育と研究の実績が高く評価され、東大・千葉大など他の4大学とともにプログラムを実施することになったのです。博士課程教育リーディングプログラムとは、国内外の優秀な教員と学生を結集し、産業界からも参画を得つつ、専門分野の枠を超えた、俯瞰力と独創力を備えた世界に通用するグローバルリーダー育成する5年一貫の大学院コースのことで、本学では「フロンティア有機材料システム創成フレックス大学院(略称:フレックス大学院)」と称します。
  フレックス大学院の最大の特長は、5年一貫の博士課程教育コースであることです。これまで博士課程は、博士前期課程に2年在籍して修士号を取得し、さらに博士後期課程に3年在籍して博士号を取得していました。これに対し、フレックス大学院は5年一貫のコースですので、修士論文審査がありません。かわりに、博士課程研究基礎力試験(QE)の審査に合格することで、3年次に進むことになります。その分、専門の研究や講義にじっくりと取り組むことができる利点があります。
  フレックス大学院では、自分の専門分野(主専攻)の研究はもちろん、それ以外の専門分野(副専攻)も合わせて学ぶことになります。これは、自分の専門だけにとらわれない幅広い知識と俯瞰力を養うためです。新しい分野を切り開いていく力を育てるのに必要なものです。 さらに、フレックス大学院には、企業や海外研究機関での実習などを実施する価値創成キャリアデザイン科目やワークが用意されています。これらによって、国際的なコミュニケーション力や発信カを高め、グローバルリーダーとしての能力を育てます。我々は,このような能力を持ったリーダーのことを価値創成グローバルリーダーと名付けています。これら実践的な能力は、博士課程を卒業したあとに、製品研究開発が担える即戦力として活躍したり、新たな分野を切り開いたりする時必要となります。これまで、博士号を獲得した学生は大学や研究機関で研究を続けることがほとんどでしたが、これからは、大学や研究機関での研究だけでなく、企業での製品研究開発の一線を担ったり、ベンチャーを立ち上げて新しい産業分野を開拓したりする、新しいタイプの「博士」も必要とされています。フレックス大学院では、企業の参画も得ながら、このような新しいキャリアパスの開拓を行っています。
  フレックス大学院コースには、山形大学出身者だけでなく、他大学や高専出身者、留学生もいます。多様な文化や価値観をもつフレックス大学院コースでは、英語が事実上の標準語となります。院生切磋琢磨しながら学修する環境を実現することで、技術開発の第一線で国際的に活躍できる力を養っています。
  一方、生活面では、コース担任やメンター制によるきめ細かい教育、生活、進路の指導、経済的な支援によって、安心して学べる環境を提供します。
  平成27年度10月現在,l年から3年次まで合わせて、24名のフレックス大学院生が学んでいます。主専攻・副専攻の講義、価値創成キャリアデザイン科目受講に加え、フレックス大学院主催国際会議や海外での英語による口頭研究発表、その他のシンポジウムなどの活動を通じ、価値創成グローバルリーダーとして大きく成長しつつあります。
  「http://ifront.yz.yamagaata-u.ac.jp/student.cgi」に、学生の様子が掲載されていますので、ご覧下さい。
  山形大学大学院理工学研究科前期課程に進学する、すべての専攻の学生がフレックス大学院を受験可能で,物質化学工学専攻の学生も学んでいます。
  「http://ifront.yz.yamagaata-u.ac.jp/index.html」に詳しい記載がありますので、ご参照下さい。